SILENT
12th SINGLE
八月三十二日
2022.9.1 RELEASE
written by maximum10 / produced by maximum10 & Fz (sfpr)
LINKLINK
葉月ケイ(14才)、裏東京都在住。
短針の無い時計が、永遠に何時とも分からない60分を回り続けている。
雨上がり、長靴を履いていたので、水溜りで大きく足踏みをしていたら、
それに連れられて、クジラが空へ飛んで行った。いつの間にか、海になっている。
どれだけそれが深くても、水面をふわふわと浮き輪で漂う私には何の関係もない。
読書感想文を書くために読んでいた本の214ページが、どこを探しても見当たらない。
全てのページを確認してもないので、やがて、机の引き出しや、テレビの裏側、
ついには、その深い深い海の中までをも探し始めた。
カレンダーに目をやると、明日はもう8月32日。
終わらないはずの夏の終わり・・・息苦しくなって、そこで目が覚める。
また、あの欠けた時計が永遠を刻む音がした。
時のマトリョーシカみたいに、何度覚めても終わりの始まりにいる。
夏休み最後の夜、ケイは、そんな夢を見た。
終わらない夏なんてない。
いつも、終わって欲しくない夏があっただけ。
真夜中を過ぎた時計・・・デジタルだから短針どころか秒針もない。
日付は、もう九月だ。
そんな仮想少女「葉月ケイ」の「八月三十二日」を、十五少女が代弁する。